皮膚科の医師求人(常勤・非常勤)ガイド

1箇所の生検で可能な限り多くの情報を得ることができる病変を選びます

皮膚科医が注意すべき点

皮疹の一部を切除し、病理組織標本(プレパラート)を作成する生検(バイオプシー)は、皮膚疾患を診断するうえでなくてはならない検査です。

皮膚は内臓と異なり生検しやすい組織であり、生検は積極的に行うべきですが、生検を行うにあたっては、診断に有用な所見が得られるよう細心の注意を払う必要があります。

すなわち、1箇所の生検で可能な限り多くの情報が得られるような病変を選ぶことが重要で、生検を行う大きさ(病変周囲の健常皮膚も含めて、一括採取するのが基本)と深さ(通常は脂肪織までで十分です)もよく考えて部位を選択します。

ただし、疾患によっては複数の異なる皮膚症状を呈したり、経過によりいくつかのステージが存在する場合もあるので、同時に複数の生検を行うことを躊躇する必要はありません。

生検の方法にはメスによるバイオプシー、トレパンによるパンチバイオプシー、鋏や剃刀によるシェーブバイオプシーがありますが、前二者が一般的となっています。

メスによるバイオプシー
生検法としては最も一般的で、最も情報量の多い試料が得られます。部分切除によるincisional biopsyが基本となりますが、病変が小さい場合は生検と全切除を兼ねたexcisional biopsyも可能です。悪性黒色腫(メラノーマ)が疑われた場合には、追加の拡大切除が必要になったときに備えて入院手術の準備も整えつつ、可能な限りexcisional biopsyを行います(incisional biopsyは、腫瘍細胞を散布して転移を引き起こすリスク有)。

具体的には病変の中央部、周辺部、および周囲の健常部が長軸にすべて入り、かつ採取後の痕が目立たないように、その長軸が皮膚の割腺方向と一致するようにピオクタニンなどで慎重に作図を行います。局所麻酔後、そのデザインに従ってメスで皮切を入れ、標本採取後にはナイロン糸などで縫合を行います。

パンチバイオプシー
市販のディスポーサブル皮膚トレパン(直径3〜6mm)を用いるもので、生検法のなかでも最も簡便です。局所麻酔後に病変の一部を円形にくりぬいて、円筒形の標本を得ます。採取後は1針縫合するか、もしくは縫合せずに圧迫止血後、抗生物質含有軟膏を外用するだけでも構いません。

 
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